“子供の日には、柏餅”
“ハロウィンにはかぼちゃ”などなど、
年中行事には、それぞれに合う食べ物があります。
行事食(ぎょうじしょく)ともいいますね。
なぜ、その年中行事には、その食べ物なのか?を知ると
ちょっと用意してみようかな、という気になると思います。
そんな、年中行事と食べ物についてまとめました。
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1月の年中行事
正月(1月1~3日)
食べ物:おせち料理・お雑煮
おせちは、
“節供料理(せっくりょうり)”という言葉からきています。
節供料理とは、節日(季節の変わり目の祝日)に
神様にお供えする料理のこと。
お正月のおせち料理は、もともと
お正月にやってくるという年神様(としがみさま)にお供えしたものであり、
私たちは、そのおさがりをいただいていて、
共に新年を祝うというものでした。
年神様は、お正月にやってきて、
その年に私たちが生き抜けるような
新しい力をもたらしてくれると言われています。
最近では、
昆布巻きは「よろこぶ」 栗きんとんは「金運上昇」など、
縁起物として食べる意味合いが強いでしょうか、
作り置きできたおせち料理は、
お正月の台所仕事を少なくなくする意味もありました。
人日の節句(じんじつのせっく、1月7日)
食べ物:七草がゆ
春の七草は、
せり、なずな、ごぎょう、はこべら、すずな、すずしろ、ほとけのざ
です。これらを入れたおかゆが、七草がゆです。
生命力あふれる春の若菜から、新しい力をいただくとともに、
おかゆにすることで、
正月のごちそうが続いた胃を休めるという意味もふくまれています。
最近は、スーパーでも、七草セットが売っているので、
挑戦しやすいのではないでしょうか。
鏡開き(1月11日)
食べ物:お汁粉
鏡開きは、正月にお供えしていた鏡餅を片付けるとともに
お汁粉などに入れていただく日です。
鏡には、神様がとどまる、ということから鏡餅といい、
その鏡餅をいただくことで、年神様の力を得られると言われています。
小正月(こしょうがつ、1月15日)
食べ物:小豆粥(あずきがゆ)
もともと、中国から伝わったもので、
小正月は、女正月ともいいます。
正月の支度で忙しかった女性に対して
「おつかれさま」という気持ちをこめた日でした。
小豆粥の、赤い色は1年の邪気を払うといいます。
2月の年中行事
節分(2月3日)
食べ物:福豆・恵方巻
節分は、立春の前の日であり、季節を分ける日という意味合いがあります。
昔(旧暦を使用していたころ)は、節分の次の日である立春が
1年の始まりだったので、「鬼は外、福は内」と
このタイミングで、家にある鬼を追い出し、
福を招き入れる行事が行われました。
なぜ豆なのかというと、伝説で、鬼を倒すのに、目を狙ったことから
『魔目』→まめ、とつながっているそうです。
『魔滅』→まめ、ともいわれています。
恵方巻は、年神さまがいるとされる恵方に向かって食べると縁起が良いとされているものです。
初午(はつうま、2月9日もしくは2月最初の午の日)
食べ物:いなり寿司・初午団子
おキツネさんをまつる稲荷神社は、農耕の神様で、
初午はもともと豊作を願う日でもありました。
その2つが結びついているのが今の初午の行事であるので、
おキツネさんの好物である初午団子や、
油揚げを使ったいなり寿司をお供えしたりいただいたりします。
バレンタインデー(2月14日)
食べ物:チョコレート
司祭バレンタイン氏が処刑された日です。
結婚を禁止した皇帝に、バレンタイン氏が逆らったから処刑されました。
それ以来2月14日が「愛の日」と呼ばれるようになったのが
バレンタインデーのはじまりです。
海外では、男性から女性に花束などを渡すのが主流で、
女性が男性にチョコレートを贈るのは、日本だけの風習です。
3月の年中行事
ひなまつり(3月3日)
食べ物:ちらし寿司、蛤のお吸い物、菱餅、白酒
この日は中国で、“悪いことが起こりやすい日”として、
川で、けがれを流す風習がありました。
日本では、紙人形を自分の身代わりとして、川に流すようになったのです。
今では、流さず、ひな人形として飾っていますが、
当日か次の日には、ひな人形を片付けることが厄払いになるという考えがあります。
ひな人形は守り神だったのですね。
当日は、女の子の節句として、良縁を願う蛤(貝が合う2枚貝なので)や
桃の節句に飲むと邪気を祓うといわれる白酒などを用意し、お祝いします。
春のお彼岸(3月20日ごろ)
食べ物:ぼた餅、お団子
春と秋にあるお彼岸ですが、春のお彼岸は、
春分の日の前後3日間を入れた7日間あります。
春分の日の3日前を彼岸の入り、春分の日を中日、
そして春分の日の3日後を彼岸の明けといいます。
春分のころは、太陽が、彼岸のある真西にわかりやすく沈むため
彼岸(あの世)と此岸(この世)がつながる日としてお墓参りをし
邪気を祓うと言われる赤い小豆を使った
ぼたもち(春の花の牡丹から)や団子を食べます。
ホワイトデー (3月14日)
食べ物:キャンディー、クッキー、マシュマロ
男性が、バレンタインデーのお返しをする日です。
お返しをするのは、日本だけの風習だそうです。
キャンディの原料である砂糖が白いことから、ホワイトデーと名前がついています。
4月の年中行事
イースター(基本的に春分の日後、最初の満月の次の日曜日)
食べ物:卵(日本)
キリストがよみがえったことを祝う行事です。
卵は、キリストの死と復活した新しい命の象徴とされています。
うさぎが「イースターエッグ」を運んでくるといわれていて、
私たちはイースターエッグに、色や模様をつけて楽しみます。
海外では、
・ホット・クロス・パン(イギリス 十字の付いたスパイスとレーズンのパン)
・シュターフラーデン(ドイツ 丸いパンケーキ)
・コロンバ・パスクァーレ (イタリア 鳩をかたどった菓子パン)
などのイースター定番のパンがありますが、
日本では、卵料理になるのが主流です。
その他
・花祭り・灌仏会(4月8日)食べ物:甘茶
・花見(初旬)食べ物:花見団子 お花見弁等
5月の年中行事
八十八夜 (5月2日ごろ)
食べ物:新茶
立春から数えて88日目の日が八十八夜です。
茶摘みが始まるころで、
この日を過ぎれば霜害の心配がなくなる、という
夏に向けた農作業をするための目安の日でした。
この日の朝の初摘茶は、味よし、縁起良し、体によしと、
飲めば長生きするといわれています。
端午の節句(たんごのせっく、5月5日)
食べ物:柏餅、ちまき
ひなまつりが、女の子の節句であるのに対し、こちらは男の子の節句です。
元々菖蒲を屋根の下に吊るして厄払いしていたことが、
菖蒲から勝負(尚武)を連想することで、男の子の節句になりました。
柏餅は、新芽が出るまで古い葉が落ちないため、
家系が絶えないという縁起物です。
6月の年中行事
夏越の祓(なごしのはらえ、6月30日)
食べ物:水無月(和菓子)
夏越の祓は、年のちょうど半分にあたる6月30日に
夏の暑さを乗り切れるように神社にお願いする行事です。
神社では「茅の輪くぐり」で厄落としがおこなわれます。
水無月という和菓子は、三角のういろうの上にあずきがのった涼を感じる和菓子。
甘くて夏でも食べやすい上、
昔は、庶民にとって貴重だった氷を形と色で表現しています。
その他
・入梅(にゅうばい、6月11日頃)いわし
7月の年中行事
半夏生(はんげしょう、7月2日頃)
食べ物:タコ(兵庫)、焼きサバ(福井)など
半夏生は、夏至から数えて11日目のことです。
ちょうど田植えが終わるころで、
稲がタコの足のように根付くようにと、
タコを食べる風習がある地域があります(兵庫など)。
外の地域では、焼きサバや長野もちを食べるなど、
地域によって食べるものが異なるのも特色のひとつです。
七夕(7日)
食べ物:そうめん・索餅(さくべい)
索餅とは、小麦粉をねじって揚げた菓子(むぎなわ)です。
中国の故事に由来して、7月7日に食べていたのが
日本ではいつしか、そうめんになっていきました。
そうめんを天の川に見立て、
星型の野菜やゼリーを飾って楽しむ家庭が多いようです。
土用の丑の日(7月23日頃)
食べ物:うなぎ、土用しじみ、土用もち
土用とは、中国の五行説に由来する言葉で、
次の季節への準備期間になります。
(夏以外も、有名ではないですが季節ごとに土用があります)
夏の土用期間(数日ある)で丑の日にあたる日に
うなぎをたべるようになったのは、
平賀源内(江戸時代の蘭学者)が、
うなぎ屋の宣伝に使ったのが最初という説が濃厚。
うなぎはもともと、精のつくものなので、
暑さがきびしいときの夏バテ対策にぴったりとはまっていますね。
8月の年中行事
お盆(8月13~16日)
食べ物:精進料理
仏教の流れからくる精進料理は、
肉・魚・卵を使わず、
植物性食材(野菜や豆類、海藻など)で作るもので、
仏様、ご先祖様が帰ってくるお盆の間は、
殺生をしないように、というならわしに基づくものです。
9月の年中行事
十五夜(中旬頃)
食べ物:月見団子
中国にもある行事で、中国では月餅(げっぺい)を供えていたものが、
日本では月見だんごになりました。
秋のお彼岸(9月23日ごろ)
食べ物:おはぎ
春と秋にあるお彼岸ですが、秋のお彼岸は、
秋分の日と前後3日間を入れて、全部で7日間あります。
秋分の日の3日前が彼岸の入り、
秋分の日が中日、秋分の日の3日後が彼岸の明けです。
彼岸(あの世)と此岸(この世)がつながる日として、お墓参りをし
邪気を祓うと言われる赤い小豆を使ったおはぎ(秋の花の萩から)や
団子を食べます。
その他
・重陽の節句(9月9日)食べ物:栗ごはん、菊酒
10月の年中行事
紅葉狩り
食べ物:焼きぎんなん、焼き栗
色づいた木々や自然を楽しむ紅葉狩り。
観光地では、旬の焼きぎんなんや焼き栗が売っているところも
ありますので、ついでに、秋の味覚も楽しんでください。
十三夜(10月中旬頃)
食べ物:栗ごはん 豆
十五夜から約1か月後のこの時期も、月がきれいに見えるので、
月見を行います。
十五夜は中国から伝わりましたが、十三夜は日本独特のもの。
十三夜の月が「豆名月」「栗名月」と呼ばれるのは
月見をしながら、その時期に食べごろの大豆や栗を食べるからです。
ハロウィン(10月31日)
食べ物:かぼちゃ、お菓子など
ハロウィンといえば、かぼちゃのランタンや、お化けの仮装を
することで有名な海外の収穫祭です。
かぼちゃのランプは、魔よけの火であり、
仮装・仮面は、そうすることで本当の悪霊から身を守って、
悪霊を追い出すために行っていました。
お菓子は、「トリックオアトリート」とまわる仮装した子供たちにあげます。
11月の年中行事
七五三(11月15日)
食べ物:千歳飴(読み方:ちとせあめ)
男の子は3歳と5歳、女の子は、3歳と7歳に
成長をお祝いするのが七五三です。
千歳飴は、紅白のめでたい色の長い飴ですが、
1000歳まで長生きするようにとの長寿の願いが込められています。
サンクスビギングデー(11月第4週の木曜日)
食べ物:ローストターキー、パンプキンパイ
もともとは、収穫に感謝し、冬を越す知恵をくれた人たちにも感謝する日でした。
現在は、アメリカでは家族や友人が家に集まって、ごちそうを食べたり
家でみんなでスポーツを観戦したりと、
親しい人たちで、ゆっくり過ごす日になっています。
サンクスギビングデーの伝統料理としては、
ローストターキーや、パンプキンパイなどが有名です。
その他
・亥の子の祝い(11月第1亥の日)食べ物:亥の子餅
・十六団子の日(11月16日)食べ物:十六団子
12月の年中行事
冬至(とうじ、12月22日頃)
食べ物:かぼちゃ、小豆粥
冬至は、1年で1番昼が短い日。
これから一段と厳しくなる寒さに供えて、
無病息災を願い、栄養もあって保存もきくかぼちゃを
冬至に食べる風習があります。
強い香りは悪いもの祓うといわれ、
ゆずの香りも良いとされています。
小豆を怖がった疫鬼の言い伝えが中国にあったので、
小豆粥を食べて、厄を祓う習慣もありました。
クリスマス(12月25日)
食べ物:クリスマスケーキ
海外では、イエス=キリストが生まれた日として、
神様が生まれたことに感謝する意味でお祝いをする日です。
日本では、サンタクロースが来る日、プレゼントを贈る日、
クリスマスケーキを食べて、パーティーをするイベントの日になっていますね。
(サンタクロースは、子供の守護神・聖ニコラウスに由来しています。)
最近は、イチゴのクリスマスケーキ以外に、
ブッシュドノエルやシュトーレンなども
メジャーになってきました。
大晦日(おおみそか、12月31日)
食べ物:年越しそば
大晦日は、夜中の0時をまわる前までに、年越しそばを食べる風習があります。
そばのように長く生きられるように、
また、めんが切れやすいので、
今年の悪いことを断ち切れるように、との願いがこめられています。
おわりに
ここに挙げた以外にも、特定の食べ物がある年中行事はいろいろあります。
食べたことのない食べ物がありましたら、ぜひ挑戦してみてください。
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